「蒟蒻」(こんにゃく)は江戸時代、“お腹の砂下ろし”と尊ばれた健康食材

「蒟蒻」(こんにゃく)は江戸時代、
“お腹の砂下ろし”と尊ばれた健康食材

ダイエットやデトックスの頼もしい味方、こんにゃく。

 冬が旬、ということをご存知でしたか?

 この時期、こんにゃく売り場をよく見ると、「生こんにゃく」と書かれた商品が目につくはずです。

 こんにゃくは通常、こんにゃく芋を乾燥&製粉して作るのですが、秋に収穫したこんにゃく芋を、そのまますりおろして作ったのが「生こんにゃく」です。

 刺身こんにゃくとして売られているものも、もちろんこの生こんにゃくからできています。

 粉から作ったこんにゃくに比べ、柔らかめで舌触りがやさしく、味が染みやすく、栄養価も高いため、旬を感じつつ、食べ比べてみられてはいかがでしょう。

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こんにゃく石焼
【材料】こんにゃく…1丁/胡麻油…大さじ1/醤油…大さじ2/ねぎ…適量/七味…少々(お好みで)
【作り方】①こんにゃくは両面をまな板に打ちつけてから、斜め格子状の切り込みを両面に入れる。②フライパンに胡麻油を熱し、中火で1の両面をこんがりと焼く。③弱火にして醤油を回し入れ、こんにゃくの両面をからめながら醤油が焦げる良い匂いがするまで焼く。④皿に取り、刻みねぎと、お好みで七味をかける。

大和朝廷時代に朝鮮半島から
医薬品として伝わった

 こんにゃく芋の原産地はインドシナ半島といわれています。

 芋というよりは、かぼちゃのようなゴツゴツとした形から、現地では「象の足」という呼び名がついているそうです。(ちなみに、こんにゃくの花も意外にグロテスクで、高く伸びた一本の太い茎から、熱帯植物系の赤い花を咲かせます)

 渡来した時期は諸説あって定かではありませんが、文献上では、聖徳太子が活躍した大和朝廷時代に、医薬用として朝鮮から入ってきたとされています。

また、鎌倉時代の『高野山文書』には、こんにゃくを仏さまのお供えにしたという記述があり、室町時代には間食用の高級食材として扱われ、冬に作られたこんにゃくは、寺院から上流階級へのお歳暮に使われたとか。

 こんにゃくが高価だった理由は、こんにゃく芋の栽培の難しさにあります。

 こんにゃく芋は、葉に傷がつくだけも病気になるほどデリケートな植物で、寒過ぎても、日差しや風が強過ぎても、水はけが悪くても、乾燥しすぎでもうまく育ちません。

 その上、秋に一度収穫して大切に保管し、春に植え直すということを繰り返し、成長するまでに3年もかかります。

 このように手間のかかるこんにゃくが、庶民にまで普及したのは江戸時代のこと。

 水戸藩の中島藤右衛門という人が、こんにゃく芋を乾燥して粉にすることを発明し、それ以来こんにゃくは、日本中いつでもどこでも作れ、食べられるようになったというわけです。

 水戸藩では元々、こんにゃく芋の栽培を奨励しており、上方に特約商人を、江戸に専売所を置くなどして財源としました。

 現在では、こんにゃく芋の産地として、群馬県が全国の60%以上を占めていますが、江戸時代はこんにゃくといえば水戸(茨城県)のものだったのです。

 水戸藩士が大老・井伊直弼を襲った、かの有名な「桜田門外の変」は、こんにゃくなしに起こらなかったのかも知れません(笑)。

メタボ防止から花粉症改善まで
とにかくありがたい食材

 医薬用として伝来したことでも分かるように、昔からこんにゃくは「お腹の砂下ろし」と呼ばれ、大掃除の後や冬至、節分などに、毒をさらい体内を清めることを目的に食べられていました。

 江戸中期、大坂の医師・寺島良安が30年以上の歳月をかけて書いた、挿絵入りの百科事典『和漢三才図会《わかんさんさいずえ》』に、「俗に云う、こんにゃくは腹中の土砂を下ろし、男子最も益ありと、そのよるを知らずといえども、さい病(呼吸器系の病気)を治するに功あり」と書かれています。

現在分かっているこんにゃくの効用は以下の通りです。

 こんにゃくが、いかにありがたい食材かが分かっていただけると思います。

●デトックス&メタボ防止
こんにゃくに含まれている水溶性の食物繊維「グルコマンナン」には、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を抑え、有害物質の停滞時間を短くし、腸壁を刺激して排便をうながす作用があります。また、コレステロールと糖の吸収を抑制する効果があり、糖尿病、高血圧、動脈硬化の予防が期待できます。

●肥満防止
弾力が強く、よく噛んで食べる必要があるこんにゃくは、脳の「満腹中枢」を刺激します。しかも低カロリーで腹持ちが良いので、肥満防止に最適です。

●美肌効果&アトピー性皮膚炎と花粉症の改善
こんにゃくは、あらゆる植物の中でダントツ量のセラミドを含んでいます。セラミドには、肌を保湿し、バリア機能を向上させ、メラニン色素を抑える効果があり、美溶液には欠かせない成分の一つです。さらに、こんにゃくに含まれるセラミドはコラーゲンを増やすことも確認されており、アトピー性皮膚炎や花粉症のアレルゲンをブロックする働きがあります。

●骨粗鬆症予防&ストレス軽減
こんにゃくに含まれるカルシウムは植物性なので、牛乳や小魚に比べて体内への吸収率が高く、骨粗鬆症予防やストレスの軽減に効果的です。特にしらたきは、板こんにゃくの約2倍のカルシウムを含んでいます。

江戸時代のレシピには
砂糖をかけたデザートも

 江戸時代、こんにゃくが冬の風物詩であったことは、江戸の節約おかず番付『日々得用倹約料理角力取組《ひびとくようけんやくりょうりすもうとりくみ》』の精進方冬の段に3品も登場していることで分かります。

 ランクインしているメニューは、「こんにゃくおでん」「こんにゃく白和え」「こんにゃく刺身」。

 これら以外に、江戸っ子の大好きな「田楽」の一種としても、よく食べられていました。

 変わったところでは、弘仕3年(1846年)、こんにゃく料理を100品集めたレシピ集「蒟蒻百珍《こんにゃくひゃくちん》」が江戸と大坂で発売されました。

 メニューを見ると「水無月」「井出の里」「氷室」「高砂」「花の下」など、雅やかな名前がついたこんにゃく料理が並んでおり、中には太白砂糖をかけたデザートまであります。

 また、こんにゃくをちぎり、焦げ色がつくまで炒めて汁物に仕立てたものを「狸汁」と称して売る店もあったようです。

 おとぎ話「カチカチ山」にも出てくる「狸汁」ですが(カニバリズムの怖い話です)、本物の狸の肉は、臭くて食べられたものじゃない、と聞いたことがあります。

 こんにゃくをおいしく料理するコツは、なんといっても下ごしらえ。

 調理の前に、両面を強くまな板に叩きつけるだけでこんにゃくが柔らかく、味が染みやすくなりますし、熱湯で1~2分茹でると臭みが抜けます。

 煮物や和え物には、切ってから空炒りしておくと味のなじみが良くなり、汁物や煮物にはこんにゃくの表面に塩をまぶし、麺棒で叩いて水分を抜けば、調理時間が短くて済みます。

 健康維持に欠かせない食材であるこんにゃく。

 いろいろな食べ方を工夫して、積極的に摂取することをお勧めします。
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この記事へのコメント

アキ
2012年03月14日 17:57
こんにゃくにはコレステロールの吸収を抑える効果があるんですね!知りませんでした。私が運営するコレステロール.COM で参考にさせていただきます。
2020年02月29日 08:38
拝見しました。
大変すばらしい食材なんですね。
デザートで、お砂糖を使ってじゃりじゃりもおいしそうです。
おでんの記事があります。
よろしければみてください。